大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和29(し)13 決定

主 文

本件抗告を棄却する。

理 由

本件抗告の理由は別紙記載のとおりである。

よつて、被告人A等に対する強盗傷人、住居侵入、暴力行為等処罰に関する法律

違反被告事件記録を調査するに、昭和二八年一〇月二日作成日附の甲府地方裁判所

第一三回(昭和二八年九月二五日)公判調書及び之に添附されている各証人尋問調

書並びに各被告人供述調書を見るに、同公判廷で勝見裁判官が黙れと云つたという

事実は認められないが、昭和二八年一〇月三〇日作成日附の同第一四回(同年一〇

月三〇日)公判調書及び之に添附されている証人尋問調書によれば、同公判廷にお

ける証人Bに対する被告人Cの尋問中、裁判長が、右証人の立証趣旨は調書の任意

性のみであるから立証趣旨以外の尋問はしないことと云つたのに対し、池田弁護人

は本件は事件の起きない中に警察の方で事件化したものであると述べ、次に勝見裁

判官が、先程裁判長から云われたとおりこの点については反対尋問の域を完全に逸

脱していると思うから、その点について立証するなら更めて証人の尋問を請求すべ

きではないかと発言した時、被告人等は裁判長の許可を得ずに、めいめい発言した

ので、勝見裁判官は「黙れ、なまいきな」と云つたこと、及びこれに対し被告人D

が「なまいきな」と云う言葉の意味を聞いたところ、同裁判官は今の言葉は不穏当

であるから取消すと述べたことが認められる。しかし、右のような状況の下におい

て、被告人等がめいめい発言した場合、勝見裁判官が「黙れ、なまいきな」と発言

したという一事を以つて、なお、また仮に同裁判官が所論のように第一三回公判に

おいて「黙れ」と云つたとしても、(これ等の言動は法廷における裁判官として穏

当を欠くものであることは勿論であるけれども)これ等の事実から、直ちに所論の

ように、同裁判官が不公平な裁判をする虞があるということは認められない。果し

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て然らば、右裁判官に不公平な裁判をする虞があるとは認められないと判示して、

抗告を棄却した原決定は正当であり、右裁判官が不公平の裁判をする虞があること

を前提として原決定の違憲を主張する本件抗告の理由は、その前提を欠き採用する

ことはできない。よつて刑訴四三四条四二六条に従つて主文のとおり決定する。

この裁判は裁判官全員の一致した意見によるものである。

昭和二九年一〇月二二日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

裁判官 谷 村 唯 一 郎

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